ペーパーレス会議と環境破壊

6月27日(木)

はてなブログに変わってから、途中まで書いた下書きがなぜか消えてしまい、ここまで何度も挫折。今日は久々の更新。

先般開催された某会の理事会で、「今後、会議はペーパーレスに。来月からは原則紙資料を用意しない。PCを持参すること。」と連絡があった。理由は「事務局員の業務軽減と資源の節約」だとか。

紙屋なので、ペーパーレスという言葉にはついつい敏感になってしまう。正直なところ、紙の使用量が減る事は、商売的には好ましくはない。だが、IT技術が格段に進歩した現代、情報伝達手段としての紙の役割が薄れてきているのは紛れもない事実。時代に合わせて、無駄に使う必要はないと言うのが本心である。

ただ、この会は私も以前所属していた某○○会議所っていう団体と違って、個人の修練より、高い効果をあげられる事業を実施することがメインであると認識している。メンバーの半分程が某団体と被っているが、縛りも緩いので理事会の出席率も比して高くない。理事メンバーの出席を促すことも運営側の責務。であるならPCを持ち込まなくても、理事会に気軽に参加できる環境も求められるべきでは無いかと思った。

ちょっと話がずれた。ホントは監事講評にて述べたかったのだが、時間が無かったので割愛した。でも今一度紙と環境について思うところがあったので、久しぶりにブログにしたためる事とする。

ペーパーレス会議の理由に「資源の節約」も挙げられていた。随分前から「紙の使用=森林破壊」という図式が世界的に波及している。アメリカの元副大統領アル・ゴア氏が書いたベストセラー「不都合な真実」にも「毎週米国人が読む日曜版を供給するために、森一つにあたる50万本の木が必要」と書いてあった。この数字の妥当性は分からないが、多少誇張表現はあるかもしれないけれども、大きく違わないのかもしれない。
ただし、この文を見て一般の人は、紙を使う事で森林伐採が行われている、紙を使う事が環境破壊だ!と思ってしまっているのでは無いか?

紙の原料はそのほとんどが木から作られている。でも決して原生林を伐採して原料にしている訳では無い。

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これは、日本製紙連合会が出している、紙の原料であるパルプの原料の構成比である。

 

製材残材:主に、木造住宅や木造家具等を作る際に発生する端材の部分
天然林低資材:折れたり曲がったりしていて、製材の商品となり得ない部分。間伐材
人工林低質材:主に製紙メーカーが製紙用に人工的に植林した木材
古材:主に木造住宅を木工製品を壊した際に発生する木の廃材

上記グラフを元に国産・輸入併せてそれぞれの使用割合を算出してみた

   製材残材:18%
   天然林低資材:11%

   人工林低質材:69%
   古材:2%

これで分かる通り、原料の約3割を製材時の端材や間伐材等の本来はゴミとして廃棄されるものを利用している。
でも残り7割が植林材がをしめているので、これは環境破壊では無いのか?という方がよくいらっしゃる。


木は光合成を行って二酸化炭素を吸収してくれる事は中学の時にならったが、通水性の関係上老木よりも若木の方が多く処理してくれるという事を知らない方は多い。光合成の効率を考慮すると老木になる前に切り倒して、新しい木を植える方が環境にやさしいということになる。


ちなみにこの環境に優しいパルプの使用量は国内の紙の生産量の約35%で、残り65%は古紙を利用している。だから、わが業界は環境破壊業どころか、環境循環型業の典型なのである。昨今、SDGSが騒がれているが、製紙業界は何十年も前からサステイナブル業界として事業運営してきているのだ。紙を使うことが決して資源の無駄遣いをしているわけではない事を分かって欲しい。

先般、業界の全国大会で、「教育の電子化」についての講演があった。近年、働き方改革も相まって、とにかく「紙を使う事が罪悪である」という風潮が強くなってきている感じがする。この事についても、いろいろと思いがあるので、後日、本ブログにてしたためるつもりである。