京都府亀岡市がレジ袋禁止条例制定を目指す
京都府亀岡市が2020年までにレジ袋禁止条例の制定を目指すと発表しました。
おそらく流行に乗ったというところでしょうか。
京都新聞の記事によるとレジ袋の代替えに紙袋を利用した店舗には補助金を出すとあります。
紙の使用量が増えるという事は、我が業界にとってとてもありがたい事ではありますが、業界人だからこそ見えてる問題点もあります。
紙袋はレジ袋に比して単価が10倍以上するので、いくら補助金が出るとはいえ企業側の負担が厳しいというのが記事にも書いてありました。
実は供給サイドとしても、切実な問題を抱えています。
レジ袋の使用量は「年間305億枚」とあちこちのネットの記事に書いてありましたが、正確な枚数を提示しているサイトはありませんでした。
実際のところはどうなのか、具体的な数字を調べてみました。
以前、日本ポリオレフィンフィルム工業組合のページに掲載されていたように記憶していたので、調べてみたら現在はt数のみの表記となっていました。
http://www.pof.or.jp/data/files/POF-y1.pdf(ポリオレフィン袋出荷状況)
http://www.pof.or.jp/data/files/PEBag-y1.pdf(折りエチレン袋輸入状況)
305億枚の数字は国産・輸入の合計が30万トンぐらいの時に、LLサイズの9.9g/枚で産出した数量との事でした。おそらく2002年頃のデータと思われます。
では直近の2017年の数字を見てみると、国産レジ袋が8.5万トン、輸入が28万トン(ポリ袋の半分がレジ袋と想定されている)の合計が36.5万トン。レジ袋でLLサイズなんかはほとんど出ないので、出筋の35と40の平均重量を6g/枚として計算すると、なんと600億枚使用していることとなります。
ご当地石川県は10年ほど前から、レジ袋を有料化しています。他地域でも同様の状況なので、レジ袋全体の使用量は減っていると思いきや、逆に増えているんですね。なんでなんだろう?
少し話しがズレてしまいました。
全体で600億枚、国産の部分だけでも150億枚の需要に対して、現在国内紙袋メーカーの年間生産数量が約40億枚。あとどれくらい生産余力があるのかは分かりませんが、せいぜい何割増やせるかです。
ここで、一気にレジ袋の紙化を勧めると生産がパンクするのは火を見るより明らか。
仮にマシーンを増設して生産能力を増やすとしても、化成品との生産スピードが全く違うので、遠い未来の事は分かりませんが、ここ数年で代替え分を紙で賄うのは不可能であると断言しても良いです。
紙をたくさん使うことになる条例を制定して頂く事は大変うれしい話なのですが、生活に影響が出ないようバックグラウンドをきっちり把握してから行ってくれることを拙に願います。